ガラパゴス体験
利用者の声、コメント
アマゾン旅行(ナポワイルドライフセンター)
ガラパゴスのあるエクアドルに3年以上住んでいるのにガラパゴスは無縁の存在だった。亀なんてイグアナなんて魅力ないじゃないとへそ曲がりに思い込んでいた自分の無知が恥ずかしい。実際に身近で見て驚いた。ここの動物たちはアシカも亀もペリカンも全く人間を恐れていない。アシカをよく観察すると非常に人間的な生活が見られる。一匹のオスが一か所の海岸を自分のテリトリーとして他のオスが近付くと大声を張り上げて威嚇し、追い払い、一夫多妻制度を守っている。みなしごのアシカが母親を探して叫びながら海岸を動き回る姿は人間の子の迷子と変わらない。他のメスを母親と間違えて近寄って追い払われすごすごと立ち去る姿は哀れを誘う。
エクアドルの首都キトからアマゾンの入り口コカまでVIPエアラインの小型飛行機で1時間弱、その後アマゾン川の源流ナポ川をエンジン付きボートで4時間程上り、さらに手漕ぎのボートで1時間以上細い渓流を両岸の景色や種々の動物、野鳥や蛇、蛙など観察しながら進み、目的地のナポワイルドライフセンターに到着。
この辺り一帯はエクアドルの南東部分のヤスニ国立公園の一部で、世界でも有数の自然が太古の昔から手つかずで残っている貴重なアマゾンの奥地である。この近くで石油が発見され、米国やカナダなどの外国資本が掘削を開始したのは70年代だった。これはエクアドル経済に劇的な消費ブームを招いた反面、環境破壊を引き起こし、これらの川の水で飲料、炊事,洗濯,水浴びをしていた先住民インディオの生活を脅かすこととなった。石油で汚染された真っ黒な水を飲み、体を洗ううちに癌等の難病が頻発し、奇形児もたくさん生まれた。インディオの種族達からもう石油の開発はたくさんだという声が出て、世界中の学者や環境保護団体の助けもあり、石油の代わりに自然を守り、観光客を呼び込もうというエコツーリズムの運動が盛んになった。
注目すべきはこの地区の先住民の考え方であり、彼らは水道も電気もなく、携帯電話の電波も届かないこの奥地で住み、学校も食事も含めた共同生活をしている。大抵の男性は狩猟も魚釣りも禁じられたこの地区で観光(ロッジの従業員やガイドとして)事業に参加することで収入を得て家族を養っている。都会の便利さに慣れた身には苦痛でも、いつもここで生活している彼らには、家族が飢えずに食べていけ、遠くに男性が出稼ぎに行かずにすむからとロッジで働けることを喜んでいる。
ナポワイルドライフセンターも アナング キチュア コミュニティの経営するホテルで、12の宿泊客用ロッジからなり、ソーラーパネルで電気を起こし、飲料水を街から運んでくる以外、水はリサイクルシステムを利用し、清潔で快適なホテルで、昨年11月ロンドンの最新世界旅行市場で“ベスト ジャングル ロッジ”の賞に輝いたのも当然とうなずける。3食の食事も欧米の5ツ星のホテル並みに洗練され、従業員のサービスも行き届いた素晴らしいエコロッジである。各ロッジの正面テラスにはハンモックもあり、寝転んで鳥の集まる様子を見ていると、まさに天国である。
翌日は早朝5時に起床、朝食後カヌーで野鳥の見られる地点まで向かう。川岸に緑色のシモフリインコの大群が見える。餌などなさそうなのに何故こんなに群れているのかというと土を食べる(土の中のミネラル成分)のだという。
昼食後、コミュニティ住民の部落見学にボートで出発。岸に上がり10分ほど林の中を歩くと明るく開けた平地に十数戸の高床式の家が中心の広場を囲むように立てられ、中心近くに小学校や校庭(広場)や体育館のようなだだっ広い建物がある。小学校は4学年12人ほどの生徒が先生一人に同じ教室で一緒に複式授業を受けていて大抵の子は裸足で授業を受けている。最近このコミュニティに中学校(7年生から9年生まで)も開設されたので、これまでコカの街まで出かけて週末にしか自宅に戻って来られなかった中学生たちが部落内で授業を受けられるようになったと非常に喜んでいた。スペイン語とキチュア語のバイリンガルの授業を受けている。
3日目はホテル近くのジャングルトレッキング。途中までカヌーで行くと、水の動きに驚いた魚たちが数十匹船に体当して来る。元気のよい一匹が船内に侵入し、飛び跳ね、暴れまくる。水に戻してあげる。狭い水路を進むと、蝶、蛙、オタマジャクシ等静かだけれど彼らの生活を営んでいるのが見える。狭くてカヌーが進めなくなり、ゴム長靴を履いて泥まみれの路を歩いて進む。
高温の日陰なのでキノコが白く木の陰で密生し、アリたちがどんどん葉っぱを運んで行列している。彼らはその葉っぱを食べるのでなく、集めて腐らせ、キノコを培養して食べるのだという。人間並に、あるいは人間以上に賢くて働き者かもしれない。3-40メートルもの高い木々が密生しているが、時々猿の家族たちが群れをなして奇声をあげながら木々のてっぺん近くを移動しているのが見える。それぞれの家族がテリトリーを持ち、他の家族が近づくとその声で追い払うのだろう。
夕方、湖の対岸まで行き、1時間近く歩いて、キャノピータワー(高度40m)に上る。高所恐怖症でなくともこの高さにおじけづいたが、登り終えると周囲の森林の先と同じ高さで周囲が明るく見渡せる。ただ汗をかいたせいか、やたら蚊やブヨが顔や手足に集まり、うるさいのとかゆいのとで追い払うのに忙しく、ゆっくり野鳥の動きを探せない。
夜7時頃、湖をロッジまで帰る途中、ガイドがカンテラをかざすとカイマン(ワニ)がその目を光らせながらどんどん光に吸い寄せられるように近づいて来る。美しいような不気味なような光景だが、直近まで来て仲間の集まりでなく、ライトの光とわかるとすぐに水に潜ってしまった。
4日目、もうキトに戻る日になってしまった。考えてみると往復で丸一日づつ必要なので、実質2日しかアマゾンライフを実感できない。
物質的な贅沢さでなく、何もないことのよさ、太古の昔からの時間が静かに過ぎていくのを感じられるさわやかさを、この生物多様性を、エコツーリズムの良さを宣伝して、日本の方々に来て頂きたいと思った。